最高裁判決 | 様々。

最高裁判決

日本国籍を持たないために
東京都の管理職試験の受験を拒否された
韓国籍の都女性職員が起こしていた訴訟において、
最高裁が違憲ではない、と判断したそうな。

公権力行使等地方公務員になるためには、
日本国籍を必要とする。

日本の憲法自体には
そんなことを規定した条文は無かったはず。
また、国家公務員法と地方公務員法にも
確か無かったはずです。

ではなんで問題になっているのか、
気になる方もいるでしょう。

公務員という職業は
「日本そのもののあり方や、地方公共団体のあり方を
左右する職業であるため、日本で生まれ育った
日本人がなった方が良いはず。」
という考え方がありました。

このことを表現する言葉に
「公務員に関する当然の法理」というものがあります。

公務員で、
「公権力の行使」、「国家意思の形成への参画」に当たる職については
日本国籍を必要とするべきだ。
という考えです。
この考えの影響力はすさまじく、
長年、この考えに準じるのが慣習となっていました。

しかし、地方公務員については、地方公務員法19条によると、
各自治体の人事委員会の判断しだいで
日本国籍の有無を受験資格からはずすことも可能である仕組みになっているんです。
(国家公務員についてはここでは触れません。)

ですから、近年では、この就任資格に関しての「門戸開放」が
進んでいたんですね。

それでも、「公務員に関する当然の法理」
の影響力は根強く、
「門戸開放」といっても、
やはり、「公権力の行使」「国家意思の形成への参画」
に該当する職については、慎重に進められてきました。
(これは公務就任権の問題で、今回の事件とは正確には違うんですが、ま、同じ様なことです。)

だからこそ、今回の原告となった都女性職員は
裁判で勝訴し、この「門戸開放」の動きを促進させようとしたんじゃないかなと僕は考えます。
「もっと、外国人居住者の権利を充実させたい。」
そんな思いもあったのではないかと。
(実際、どうなのかはわかりませんが。)

しかし、最高裁の判断は原告敗訴。

これで、「門戸開放」の動きは事実上
後退せざるを得ないようになってしまうでしょう。

海外では、各国の外国人の地方公務員採用に関しては
「門戸開放」しているところが多く、
今回の最高裁の判断には疑問が残ります。

自称、アジアのリーダーを名乗るんだったら
日本国籍を持たない者に対して、
このような、「あくまでも日本人とは区別する」
といった態度はとるべきではないですね。

それでなくても、日本はかなり保守的なところがありますから、
ここらでいっちょ、何かやらかして欲しいものです。
(僕にも少しは法学部生らしいところがあるでしょ?)